【72話】 東京、江東区。 この地名だけで、俺の心は既に大きく躍動していた。 田舎を出発して、車をコインパーキングに停めるまでの間、都会の喧騒とは無縁の静けさが俺を包んでいた。 しかし、一歩外へ踏み出すと、その全てが変わった。 都会の空気は違う、何かが違う。 そして、その「違い」に僕は心躍らせながら、伯父さんの家へと向かった。 「ピンポーン!」とドアベルを鳴らす。 緊張と期待で心臓が高鳴る。 すると、重厚な玄関の扉がゆっくりと開いた。 そこには、伯父さん、タケミチ、そして見知らぬ女性の姿が。 「はじめまして! チズルです」と、明るく元気な声が飛び込んできた。 その瞬間、思考が停止する。 タケミ…