前回に続いて、『モーセと一神教』から。 モーセと一神教 (ちくま学芸文庫) 作者:ジークムント フロイト 筑摩書房 Amazon 「信仰箇条は、確かに精神病の症状の性質を帯びているのだが、集団的現象であるがゆえに孤立という名の呪いをまぬがれているだけに過ぎない。」(『モーセと一神教』P145) フロイトはこれでよく天寿を全うできたな、としみじみ思う。 『モーセと一神教』を読んで改めて思ったのは、フロイトは生涯、宗教と戦ったのだ、ということ。 「宗教を人類の神経症へと還元し、その巨大な力をわれわれが治療している個々の患者における神経症性の強迫的な力と同じものとして解明できるとの結論に研究が立ち至…