村上春樹著『1Q84』は、オウム真理教の起こした「地下鉄サリン事件」を扱ったノンフィクション作品『アンダーグラウンド』を経て、著者が得た主題を物語にした作品です。単にモチーフにしたというだけでなく、カルト信者と一般市民との間に「フラクタルな社会構造」を捉え、信者がカルトに身を捧ぐのと同様に、「我々も社会に対して自我の一部を捧げてしまってはいないだろうか?」と問題提起する作品です。 1Q84(BOOK1~3)合本版(新潮文庫) 作者:村上春樹 新潮社 Amazon テーマあるいは出発点 あなたは誰か(何か)に対して自我の一定の部分を差し出して、その代価としての「物語を」受け取ってはいないだろうか…