連載更新『平成文学・私史』(浦澄彬 著)第1章「平成時代直前の文学部系大学生」 その3 「芸大生の文学活動」2 続いて、大阪芸大で教わった名物先生たちを紹介する。 まず、近世文学が専門のS.S.先生には、度肝を抜かれた。講義の第1回目にこう宣言したのだ。「私が書いたこの教科書を買ってくれたら、あとは一回も講義に出席しなくても全員、単位は保証します」と。半信半疑で、くずし字の筆の文章が最初から最後までそのまま印刷されている『尾崎雅嘉著述三種』という、難しそうな専門書を買い込んだ。そのまま、ほぼ全欠席したのだが、先生、ちゃんと約束を守って、単位をくれたのだ。その後、以下の本を書店で見かけて、この先…