その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな 清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 ・・・ 白桜集 1942年 我れのみが長生の湯にひたりつつ死なで無限の悲しみをする 晶子詩篇全集 雲片片 草と人 如何いかなれば草よ、風吹けば一方ひとかたに寄る。人の身は然しからず、己おのが心の向き向きに寄る。何なにか善よき、何なにか悪あしき、知らず、唯ただ人は向き向き。 賀川豐彦さん わが心、程ほどを踰こえて高ぶり、他たを凌しのぐ時、何時いつも何時いつも君を憶おもふ。 わが心、消えなんばかりはかなげに滅入めいれば、また何時いつも何…