原稿が遅々として進まないので、筆休めに私の近況でも適当に話そう。 体重移動を行う度に床が悲鳴を上げた。見ると、煤だらけで木目さえ判然としない。底が抜けて落下しないのが不思議な状態だった。空家等対策特別措置法に引っ掛かって自治体などに目を付けられないよう柱と梁だけは修復しているそうだが、どうやら本当らしい。しかし、内装は手付かずで屋根裏もボロボロ…… バルコニーに関しては焼失したままで放置という有り様。扉も施錠すらされていなかった。 「自覚あんの?」 「……寝不足の自覚なら多分にあるね」 家具の一つも存在しない空き家に一発、乾いた音が鳴る。平手で背中を引っ叩かれたのだ。しかし、今の私には痛がる余…