片山ふえさんの『オリガと巨匠たち――私のウクライナ紀行』(未知谷 2010年)を読みました。副題にあるとおり、片山さんの西ウクライナの旅日記なのですが、案内人のオリガ・ペトローワさんをはじめ道中で出会うウクライナの人々の人生と時々の風景がみずみずしく重なり、まるで一緒に旅をしているような感覚に何度もとらわれました。合間にウクライナと土地の歴史などが語られているのも親切でしたが、18世紀のリヴィウで制作活動をしていた彫刻家ピンゼル、その後忘れられた彼の作品の収集に精力的に取り組んだヴォズニツキ氏のことなど、初めて知りました(1917年ロシア二月革命を、「いわゆる『メンシェビキ革命』」と記述したの…