ごくわずかなことのたとえ。四字熟語。
関連熟語
「九分九厘」
実際ミーチャの手から『横取り』する気でいるという噂をちらほら耳にしていた。ついこの間までこの噂はアリョーシャにとって、もってのほかの奇怪至極なものに思われた。もっとも、非常に気がかりであった。彼は二人の兄を両方とも愛していたので、二人の間のこうした競争が恐ろしくてたまらなかったのである。 そのうちに、昨日ドミートリイが、とつぜん彼に面と向って、自分はかえってイヴァンの競争を悦んでいる、そのほうがいろいろな点において自分のために都合がよいと言った。どうして都合がよいのであろう? グルーシェンカと結婚するためとでもいうのか? しかし、アリョーシャには、こんなことは自暴自棄な最後の手段としか思えなか…
持ちのミウーソフ家で女中を勤めていたころ、モスクワから招聘された踊りの師匠に教えられて、同家の家庭劇場で踊ったようなものであった。グリゴーリイは妻の踊りを黙って見ていたが、一時間後、自分の家へ帰って、少々髪を引っ張って彼女を懲らしめた。しかし、手荒な折檻はそれきりで終って、もうその後一度も繰り返されなかった。マルファもそれからふっつり踊りを断念してしまった。 この夫婦には子供が授からなかった。もっとも、一人赤ん坊ができたが、それもすぐ死んでしまった。グリゴーリイは見うけたところ子供が好きらしかったし、またそれを隠そうともしなかった。つまり、それをおもてに見せるのを恥しがる様子がなかったのである…
カラマーゾフの兄弟 フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)筆者《わたし》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)|解放《エマンシペーション》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「火+欣」〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ (例)〔Plus de nolbesse que de since'rite'〕 アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください https://www.ao…
「そりゃ、アレクセイさん、そのとおりですよ、その一年半の間に、あなたとリーズは幾千度となく喧嘩したり、別れたりなさることでしょうよ。けれど、わたしは喩えようもないほど不仕合せでございます。それはみんなばかばかしいことには相違ありませんが、それにしても仰天してしまいました。今わたしはちょうど大詰の幕のファームソフ([#割り注]グリボエードフ『知恵の悲しみ』の人物、ソフィヤの父親[#割り注終わり])のようでございます。そして、あなたがチャーツキイ、あの子がソフィヤの役割でございます。それに、まあどうでしょう、わたしはあなたをお待ち受けしようと思って、わざとこの階段のとこへ駆け込んだのですが、あの芝…
間てやつは自分の痛いことばかり話したがるものだよ。いいかい、今度こそ本当に用談に取りかかるぜ。」[#3字下げ]第四 熱烈なる心の懺悔―思い出[#「第四 熱烈なる心の懺悔―思い出」は中見出し]「おれはあっちにいる頃、ずいぶん放埒をつくしたものだ。さっき親父がおれのことを、良家の令嬢を誘惑するために、一時に何千という金をつかったと言ったが、あれは豚の空想で、決してそんなことはありゃしない。よしあったとしても、『あのこと』のために金がいったわけじゃないよ。金はおれにとってただの付属品だ、心の熱だ、装飾品だ、それで、きょう立派な婦人がおれの恋人になってるかと思うと、明日はもう辻君がその代りになっている…
カラマーゾフの兄弟 フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 米川正夫訳 - 【テキスト中に現れる記号について】《》:ルビ (例)筆者《わたし》|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)|解放《エマンシペーション》[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「火+欣」〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ (例)〔Plus de nolbesse que de since'rite'〕 アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください https://www.ao…