支那最古の図書分類目録。劉向劉キン父子によって成立。その具体的な作業は、劉向が経伝(儒家の経典やその注釈)・諸子・詩賦の書を、任宏が兵書を、尹咸が数術(占卜)書を、李柱国が方技(医薬)書を担当し、(1)宮中所蔵の書を基に、内外の異本(伝来の異なるテキスト)を校合(対照して検討)する、(2)簡牘の乱れを正し、篇目を定める(それまでの書籍は竹簡・木牘に記されていたため、しばしばそれを綴じる際に乱れが生じた。これを錯簡という。また、書名・篇名・巻数などの表記も明確に意識されていなかった)、(3)誤字・脱字を正す、(4)書名を定める、(5)竹簡に書写して定本を作る、などの作業を進めた。
この作業を統括した劉向は、各書物の解題を『別録』という書にまとめた。また、その子の劉キンは、父の仕事を受け継ぎ、『七略』という図書目録を完成させた。記録に残る最古の図書目録である。
残念ながら、この二つの書は現存せず、その内容の詳細を知ることはできない。ところが、後漢時代(25〜220)に『漢書』が編纂された際、その図書目録部分である「芸文志(げいもんし)」が劉キンの『七略』に基づいて編纂されたため、この「芸文志」を通じて、劉向・劉キン父子の業績を推測することができる。
輯略,六芸略,諸子略,詩賦略,兵. 書略,術数略,方技略。