部室には、朋夏と湖景ちゃんがいた。二人ともパイプ椅子に深く腰かけ、沈んだ様子でうつむいている。 「湖景ちゃん……名香野先輩は?」 「連絡が取れません……昼に教室に行っても、いなくて」 やはりショックが大きかったのだろう。何とか見つけて、元気づけてあげないと。でも、どうやって? 「上村君が名香野先輩に、宇宙科学会の活動に専念させるためにやったんじゃないかな」 沈黙を破るように朋夏が口に出した答えは、僕も薄々感じていることだった。名香野先輩に委員会活動を休んでくださいと頼んでも、簡単にうんとは言わないだろう。名香野先輩に対する敬意と忠誠心の厚い上村なら、あえて退路を断つという選択肢はありうるし、そ…