明けましておめでとうございます。 今年はまず、今月『悪の芽』の文庫が出ます。ここ数年出している本の内容を考えると、この『悪の芽』を起点としたテーマをずっと追っている気がします。ですので、ぼくにとっては新たな出発点だったようです。 二月には、新連載『不等辺五角形』が東京創元社「紙魚の手帳」で始まります。『愚行録』系の話です。 五月に、新作『ひとつの祖国』が朝日新聞出版から出ます。第二次世界大戦の結果、東西に分割された日本が二十世紀末に統一されたが、東西の経済格差が今も残っているという架空の日本を舞台にした話です。主人公はふたりで、東日本出身のひとりは東日本独立を目指すテロ組織にやむを得ず加わるこ…