1950年、フランス隊のアンナプルナ登頂により人類が初めて8000m峰の頂きに立ったのに続き、その三年後にはイギリス隊が世界最高峰たるエベレストへの登頂を果たしたことで、地球上でもっとも高いこの領域への門戸が大きく開かれたことはご存じの通りである。 朋文堂の全十二巻からなる「世界山岳全集」の第七巻には、ヒマラヤ山脈の北西に位置するカラコルム山脈の二つの8000m峰、世界第二の標高を誇るK2と、その幅広い山頂に由来する名を持つブロード・ピークへそれぞれ挑んだ、イタリア人とオーストリア人の手になる記録が収められている。 これら二つの挑戦はいずれも成功裡に終わったが、両者の基本コンセプトおよびアプロ…