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世界市民

(一般)
せかいしみん

cosmopolitan(英)


アレクサンドロスの征服によって汎ヘレニズム世界が成立したことからポリスや民族、人種に依存しない「市民としての倫理」が意識されるようになって主張されるようになった考え、アイデンティティ、意識。

キュニコス派のディオゲネスは、どこの市民かと問われたとき、「私はコスモポリテースだ」と答えたと伝えられる。ストア派につよく継承された。

カントの永久平和論などもその影響があるとされる。


批判的な立場による解題

主に左翼的な思想に立つイデオローグがしばしば主張する自らのアイデンティティを示す肩書き。例えば「日本人」であることを言いたくないときに便宜的に使われるが、このことばを使う者はしばしば日本人であることから受ける利益や特権までは放棄しない態度を取る。
「いきすぎた(特定の)民族や国家への反感」から生み出されたユートピア的な仮想上の言葉である。

肯定的な立場による解題

排外主義に転じやすい民族主義を超克し、国家間の対立をも乗り越えて世界中の人々は共同体である、という思想。
イメージとしては、ジョン・レノンの「イマジン」で歌われている世界を想像すると分かりやすい。

キリスト教民主主義の文脈で使われることもある。

ただし
拡張主義の国家がしばしば持ち出すこともある。「五族協和」「八紘一宇」も同根。
「コスモポリテース」も源流は国家拡張期のことばであることに注意されたい。
ゆえにしばしば「地方政府」の庇護から離脱するという概念が含まれないこともある―――というより、「壊した陶器はご自分でお買いあげください」とばかりに両者をくっつけるルールは実は存在しないことにも注意されたい。
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