◇山川出版社の「詳説世界史」、東京書籍の「世界史探究」、実教出版の「世界史探究」を比較・検討しています。 ◆今回は、中国の道教を取り上げます。「今までの中国史は儒教と仏教に偏っていたのではないか」という反省が、私自身にあるためです。道教の成立期に焦点をあてて考えてみます。道教の成立は5世紀とされています。 ◆3冊の教科書は、旧課程の「世界史B」と同じく、道教の成立については北魏(華北の鮮卑王朝)の寇謙之だけを取り上げ、江南[*1]の道教の動きには触れていません。この点では、まったく進歩がありませんでした。 ◆東晋~南朝の時代の江南でも、道教の大きな動きがあったことは、道教の成立を考えるうえでも…