後期高齢者夫婦と三人の娘が主役の介護ドラマ。ソレ、只今、自分が当事者デアリマス、という方たくさんおられると思います。ほろ苦い、悲しい思い出があるかたもいっぱいいるはず。介護のリアルな描写から、もしや著者、中島京子センセも介護の当事者か経験者ではないかと想像しました。医療措置のあれこれを描くには専門知識がいるので他人事状況では詳しく書けないはずです。 小説だから悲惨物語に仕立てるのも自由ですが、そういう筋書きにはしなかった。家族間の小さなもめごとはあるけど家庭破壊に至らず、穏やかな結末に仕立てた。むしろ、現実の介護ドキュメントのほうがずっと辛くて暗いと想像でき、リアリティーの乏しさに不満を抱く読…