山本有三『波』に関連して、明治から大正にかけての、主に東京における貧困層への教育的対応を調べている途中に、ある論文で私立の「代用小学校」という学校の存在を知りました。 明治の前半期には、公立の小学校より低い授業料を設定した私立の小学校が多く存在したそうで、「多くの私立小学校が庶民層の子どもの生活実態に応じた教育を提供」していたとされています。(石井智也「明治・大正期の東京市における初等教育の成立・普及と『特別な教育的対応・配慮」に関する歴史的研究』東京学芸大学、2019) しかし、明治23年(1890)年の小学校令改正以降は公立小学校と同等の基準(設備 、教育課程、教員資格、授業日数など)を要…