《内容》 琵琶湖近くの介護療養施設で、百歳の男が殺された。捜査で出会った男と女―謎が広がり深まる中、刑事と容疑者だった二人は、離れられなくなっていく。一方、事件を取材する記者は、死亡した男の過去に興味を抱き旧満州を訪ねるが……。昭和から令和へ、日本人が心の底に堆積させた「原罪」を炙りだす、慟哭の長編ミステリ。 吉田修一作品を読むと男女の関係性は恋愛でも夫婦でもカップルでもなくて「共犯」という言葉がピタリと合う。愛だとか利害関係だとかそういうのをすっとばして原始的な罪で繋がった二人、みたいな。 私は「悪人」が大好きなんですが、それにしても今回の男と女の関係性は”運命”過ぎる。けど、それは悪人の祐…