神野直彦『財政学』(30) 今回は、第13章 人税の仕組みと実態 のうち、「所得税の課税単位:結婚への刑罰とギフト」(p.192~)をとりあげる。 税金(公的な支出に必要なお金)は、「経済力に応じて分担しよう」という考え方には、(各論はともかく総論としては)多くの人が合意するだろう。 人びとは経済力とは何かを、直観的に理解している。「お金持ち」という概念が、これを如実に物語っている。この概念は、人々が経済力を、フローとしての所得と、ストックとしての富[資産]との混合として、理解していることを示している。資産らしい資産もない年収1000万円の給与所得者を、「お金持ち」ということは無いにしても、莫…