二木謙一氏の秀吉の接待―毛利輝元上洛日記を読み解くを読んだ。この本を読む前にサブタイトルに「毛利輝元上洛日記を読み解く」に気付かず、秀吉側の視点に立った本だと思っていたのだが、実際はこのサブタイトルの通りで、毛利輝元側の視点に立った文書をもとに天正十六(1588)年に毛利輝元が京都の聚楽第に上洛し、秀吉に臣従の礼を取った時の毛利輝元の京都への道中記・京都滞在記となっている。毛利輝元の家臣の平佐就言が七月七日安芸の吉田郡山城を出発し、京都に約一月半滞在し、九月十九日に帰城するまでの動静を記録した日記が残っている。しかし、その日記の原本は不明で、「天正記」あるいは「天正朝聘日記」などと題する写本が…