🪷限りあれば、例の作法にをさめたてまつるを、 母北の方、同じ煙にのぼりなむと、泣きこがれたまひて、 御送りの女房の車に慕ひ乗りたまひて、 愛宕といふ所にいといかめしうその作法したるに、 おはし着きたる心地、いかばかりかはありけむ。 「むなしき御骸を見る見る、 なほおはするものと思ふが、いとかひなければ、 灰になりたまはむを見たてまつりて、 今は亡き人と、ひたぶるに思ひなりなむ」 と、さかしうのたまひつれど、 車よりも落ちぬべうまろびたまへば、 さは思ひつかしと、人びともてわづらひきこゆ。 内裏より御使あり。 三位の位贈りたまふよし、 勅使来てその宣命読むなむ、 悲しきことなりける。 女御とだに…