ある日の飛行機雲 年齢を重ねると、当然のことながら、お付き合いのあった方の訃報に接することが増える。アートディレクターの市川敏明さんのことは忘れ難い。誰もが知っている有名人、というわけではないけれど、多くの仕事をされてきた方なので、実名を記しておく。初めてお会いしたのは、D誌という月刊誌の編集部。2000年から2001年にかけて、もう四半世紀も前のことになる。私は仕事をあれこれ転々としていた頃で、派遣社員としてD誌にて進行管理の仕事を担当することになった。市川さんはアートディレクターとして全体のデザインを統括していて、時々編集部にやって来ては、進行管理担当の私の隣の机で仕事をしていた。編集部の…