前回のつづき[ かくてその日も、はや七ッ(午後四時)頃とおぼしければ、いそぎ三条に宿をとらんと、道をはやめ行く。すると向うに小便タゴ(桶)と大根を荷いたる男が…… ]【肥取りの男】「大根小便しょっしょっ。クソはいらん…。」と節をつけて男が歌って歩いて来る。【北八】「ハハハハハ 唐茄子が笛を吹いた見世物は見たが、大根の小便するのは、ついど見たことがねェ。」【弥次】「※あれがかの、京名物の大根と小便と、とっけえにするのだろうよ。」 ※さても小便を寵愛するは京の百姓で、北は八瀬、大原、南は高瀬舟で伏見方面へ舟で持ちかえっていたようだ。十返舎がかかる風習を誇張して書いたのを当時の読者は喜んだのであろう…