奉行所の与力からジャーナリストに転身した神沢杜口(かんざわとこう) 今回ご紹介したいのは、病弱だった前半生から一転、80歳を過ぎても健脚を誇った江戸時代の俳人・随筆家の神沢杜口です。 森鷗外も触発された『翁草』 神沢杜口―諡(おくりな)は貞幹(ていかん)―は、これまで京都検定に出題されたことはありません。それどころか歴史の教科書にも出てこなかった人物です。 森鷗外を知らないという人はいないと思いますが、かの有名な『高瀬舟』は、神沢杜口が著した『翁草』(おきなぐさ)から着想を得ているのです。同じく鷗外の歴史小説『興津弥五右衛門の遺書』も『翁草』に載っているエピソードを基にしています。 『翁草』は…