人事興信録

はじめに 船井電機が破産しました。私はTV関係の仕事をしていたため、船井電機には思い入れがあります。 全盛期の船井電機はすごかった。パナソニック、ソニーといった老舗TVメーカーがシェアうぃ奪われる様子を見て、デジタルTVはもう機能で選ばれる製品ではなく価格で選ばれる製品なのだと思ったものでした。そんな船井電機の破産に至る経緯を調べていて、３つの点が気になりメモを残します。一つは買収を仕掛ける側の狡猾さ、二つはミュゼという美容関連企業をめぐる不思議な取引についてです、三つは上田智一元社長が船井電機の経営権を１円でファンド(合同会社 EFI株式ファンド)に売却されています。 調べていくうちに、主要…

※入力の都合上、二つの記事に分けて掲載します。引用等の際は、書籍／pdf版の註番号、頁数を参照していただければと存じます(黒石大泉清伝 - Google ドライブ)。そのうち、新情報も含めて改訂できればと思います･･･ 【凡例】 ・拙稿「黒石大泉清小伝 〈大泉黒石〉の誕生」に基づいて「丘の蛙」、「大谷清水」、「泉清風」は彼の筆名であるとみなした。 ・彼が生まれてから1919年9月に『中央公論』において「幕末武士と露国農夫の血を享けた 私の自叙伝」(自叙伝第一篇)を発表するまでの過程については拙稿「黒石大泉清小伝 〈大泉黒石〉の誕生」で詳細に論じているため、そちらも併せてご参照いただければ幸いで…

結論 石破茂（いしば しげる）が内閣総理大臣として務めた場合、彼の特徴や性格からどのような総理大臣になるか予測すると、以下の点が挙げられます。 1. **冷静で論理的な判断力** 石破氏は政策について深い知識を持ち、冷静かつ理論的な議論を重視するため、重要な決定においては感情的な判断に流されず、慎重かつ論理的な対応が期待されます。特に安全保障や外交においては、周到に議論を重ね、国家の利益を最優先に考える総理大臣となるでしょう。 2. **信念を貫くリーダーシップ** 石破氏の政治姿勢は、派閥や短期的な利益に左右されず、信念に基づいた政策を打ち出す傾向が強いです。このため、特定の圧力や外部からの…

人事興信録を利用し、江戸期の天皇(具体的には東山帝、後陽成帝)の末裔が、どの様な人達なのか分析した。 末裔自体は、帝大卒が必ずしも多いとは限らないが、その伴侶となる社会的成功者(具体的には大手企業役員や著名な学者など)には、東京大学を主とした、旧帝国大学や、名門私立大学出身者が多かった。 また、各地の名社(出雲大社や熱田神宮、伊勢神宮、京都の古社)の宮司には、末裔が多いと感じた。

め[:contents] 2-1.父アレクサンドル没後の動向 1902年2月11日から12日にかけての夜、父アレクサンドルが亡くなった。おそらく清が小学校三年生を終える頃のことだった。アレクサンドルは、「記録文書の証言によると、(…)死に先立って遺言を口述筆記し、「日本にいるその一子の世話」をマリヤ・マトゥヴェーエヴナ・ロリス＝ダマンスカヤに託し」た(グザーノフ氏p.44)。それでは具体的にどのような「世話」がなされたのだろうか。 まず、アレクサンドルの遺産の一部が清に託されたということは事実だろう。このことはグザーノフ氏(p.45)も「死んだ少年の父親の遺言で、マリヤ・ダマンスカヤがかなりの…

3-1.京都から東京へ 3-2.労働者時代 3-3.第一高等学校 3-1.京都から東京へ 1915年、おそらく月謝未納等の金銭的な理由から、清は9月に進級する前までに第三高等学校を退学せざるをえなくなったようだ。父の遺産がとうとう底をついたか、『俺の自叙伝』等に書かれているように第一次世界大戦の影響で海外からの送金が途絶えたか、そのいずれかだろう。それでも直ちに上京したわけではなかったようで、1915年の冬にはまだ大阪にいたらしい[1]。おそらく大泉家は、1915年の末か、1916年の早い時期に上京したのだろう。この時、三高時代には清と別居していたらしい祖母も東京へ呼んで一緒に暮らすことになっ…

4-1.赤本について 4-2.清と赤本屋──門前払いの苦悩 4-3.丘の蛙──赤本作家としての出発 4-4.『一高三高学生生活 寮のささやき』──剽窃と記憶 4-5.『博士になるぞ』──『俺の自叙伝』のエクリチュールの萌芽・苦悩の表出 4-6.『諧謔小説 かっぱの屁』──夏目漱石の影響・石川島造船所の描写の変遷 4-7.『滑稽俳句 海鼠の舌』──種本との戯れ 4-8.大泉小生「三高生活 冬の夜がたり」と大泉清『卵を多く産ませる素人養鶏』 4-9.大谷清水『午』 4-10.『文壇出世物語』の謎 4-1.赤本について 実は黒石はいくつかの自叙伝的作品の中でかつて赤本を書いていたということを明かして…

❶ 闇に包まれた〈シベリア行〉 ❷ 新聞社からの逃亡／追放 ❸ 『露西亜西伯利 ほろ馬車巡礼』 ❹ 結論 ❶ 闇に包まれた〈シベリア行〉 1918年の後半から1919年の前半の間に、黒石大泉清はシベリアへ行って来たらしい。このことは『露西亜西伯利 ほろ馬車巡礼』、『俺の自叙伝』、『人生見物』等に描かれている。シベリア行自体は実際に行われたようで、その証拠としていくつかの証言が挙げられる。例えば、『ほろ馬車巡礼』の序文において信定瀧太郎(雑誌『大学評論』編集者)が「君を西伯利亜へ送ったのは昨年の初冬であった」と述べている。また、志村有弘「大泉黒石の文学と周辺」では大泉家四男の湧氏が生前の母(=黒…

人事興信録を見ていると、しばしば、武士出身者(士族)が役人や実業家、軍人などとして成功しているのを見かける。 私が考える武士が成功者であった理由を挙げる。 それは、優れた教育だと思う。藩士時代からの教育の蓄積が武士出身者の成功を生んだのだと思う。

人事興信録はおもろい

太宰治の『魚服記』はさらりと読み流してしまうには難しい、なかなか解釈の分かれる短編小説だ。 でもまぁ、とりあえずは一種の民話だと思えば良いのではないかとも思う。 まずはテキストをテキストのまま飲み込むというのが小説を楽しむ第一歩だし、テキストをテキストのまま飲み込めるくらい、太宰の小説は面白みがある。 解釈はその後でいい。 さて、『魚服記』を読んでいて気になったことがある(気になることしかない小説だ)。 それは、出てくる食べ物についてだ。 主人公のスワは山奥に父親と住んでいる少女で、滝のそばの茶屋で「ラムネと塩せんべいと水無飴とそのほか二三種の駄菓子」を売って暮らしている。 ？ 「水無飴」？ …

数年前から寸葉さん（骨董屋）の所に、徳岡神泉宛書簡が出ている。ただ、これはというものがなくて私は買っていない。同じく竹内栖鳳門下で神泉に比べると知名度が劣る土肥蒼樹宛の書簡も以前から寸葉さんで見かける。こちらは数枚持っているので、今回そのうちの1枚を紹介しよう。 昭和16年10月3日付け高橋信之助から京都市の上田慶之助気附蒼樹宛絵葉書である。絵葉書は、新しき村東京支部から発行され、鳩居堂で10月7日から10日まで開催される武者小路実篤個展の案内*1が印刷されている。 高橋及び上田は、共に新しき村の村内会員だった人物である。『志賀直哉全集』16巻（岩波書店、平成13年2月）の「日記人名注・索引」…