僕の今の職場では、目の前の机に高校の物理教師の同僚が働いている。ふだん雑談や冗談を言い合ったりする仲だが、理系に関する知識を尋ねたりすることもある。 僕は小学生の頃、近所に住む姉の友達の板橋さんから教えられて、現代教養文庫の『面白い物理学』(ペレリマン著)を読んで、その面白さに夢中になった。当時のソ連の科学の入門書の翻訳で、異国風の挿絵がふんだんにあり、初歩の力学の解説とともに、永久機関や錯覚についての詳しい説明もあった。 だから、そのころから「物理学」にあこがれがあって、高校になって正式の教科で「物理」を学ぶことを楽しみにしていた記憶がある。それはこの本の影響だけではない。 僕が子どもの頃は…