岩波文庫162ページ「仏々正伝する大道の、断絶を超越し、無始無終を脱落せる宗旨、ひとり仏道のみに正伝せり。自余の諸類、しらずきかざる功徳なり。行仏の設化するところには、四生あらざる衆生あり。天上人間法界等にあらざるところあるべし。行仏の威儀を覰見(しょけん)せんとき、天上人間のまなこをもちゐることなかれ、天上人間の情量をもちゐるべからず。これを挙して測量せんと擬することなかれ。十聖三賢(じっしょうさんげん)なほこれをしらずあきらめず、いはんや人中(にんちゅう)天上の測量のおよぶことあらんや。人量(にんりょう)短小なるには識智も短小なり、寿命短促なるには思慮も短促なり。いかにしてか行仏の威儀を測…