「ブッダは釈尊だけではない。決して一人の人物を意味していなかった。」 これは、仏教学の大御所、中村元先生の論文である(「釈尊を拒む仏教」)。まさに「目から鱗」であった。かいつまんで、要約してみた。 ①仏教とは「ブッダとなるための教え」「ブッダの説いた教え」である。〈ブッダの説いた〉とは、〈釈尊の説いたもの〉と暗黙のうちに了解されている。ブッダとは、釈尊である。しかし、釈尊だけがブッダであろうか。 ②そうではない。当時は、修行を完成した人は、みんな〈ブッダ〉とよばれていた。ブッダとなることを教えた人々は当時、幾人もいた、釈尊ひとりだけではなかった。 ③ジャイナの修行者も、ウパニシャッドの哲人も叙…