高句麗の「広開土王碑」は、よく知られているように、広開土王の功績をたたえた古碑である。中国東北辺で蔓苔を絡め、風化した姿で現れたこの「広開土王碑」ほど、長く国際的な論題になり、ホットな論争を呼び続ける碑石は稀であろう。本書は、もの言わぬ「広開土王碑」と真摯に対話した酒匂景信・水谷悌二郎や、王志修・栄禧・初天富ら、内外の多彩な人物像を通じて、その実態に迫り、王碑の語る真意を探る。また、碑文の解読に欠かせない、全字格の釈文、読み下し文、訳文を付す。 西暦414年に高句麗の長寿王(広開土王の息子)によって建てられ、1800字余りの金石文が刻まれているが、中でも重要なのは「倭」という文字が9つも出てく…