「桃断ち」の日 国賠・十二年目の判決 野枝とルイさん 棚から「伊藤野枝全集」(学芸書林)をとり出して「動揺」とか「乞食の名誉」、それから「青山菊栄様へ」などを読んでみた。たったこれだけ読んでみただけでも、野枝はすごく自分に正直で相手が誰であろうと実感でしゃべってると思う。たとえば野上弥生子が野枝を大杉の可愛い妻にすぎないと批評して「あの人の社会主義かぶれなぞ、私の信じるところが間違っていなければ、百姓の妻が夫について畑に出る同程度のものに過ぎないと思います……」なんて言ってるね。これを聞いて「野枝のほうが女としてずっと深く本質的で、先をいってると思った。自分のおもいから離れた「社会主義」なんて…