2019年3月、鶫書房から刊行された光本恵子(1945~)の評論集。イラストは佐藤英里子。未来山脈叢書第203篇。著者は鳥取県生まれ。 本書は二十年にわたり、新聞「長野日報」紙に書き続けてきたものの一部をこの度、まとめたものである。 明治時代は文学も新しい気運に溢れていた。小説では言文一致運動により、森鴎外や夏目漱石、島崎藤村などは、できるだけその当時の話し言葉で小説を書いていたのである。そして、短歌の世界にもその動きが起こったのが明治から大正、昭和の初期であった。 欧米から「詩」の形式を学んできた文学者は何とか日本民族の伝統ある花鳥風月の短歌に、苦しみや愛をも表現できないかと考えた。そこで、…