“望郷”、歳を重ねる度に胸を締め付ける度合が増す言葉だ。”夏休み”、幾つになっても鮮やかな思い出を紡ぎ出す魔法の言葉だ。この暑い季節にこれ程似合う二つの言葉は他には無い気がするのだ。 “暑い夏”、母校の110周年記念の会員名簿が届いた。つい同窓の一人一人の名前を辿って小一時間が過ぎてしまった。己の当時はと言えば、小癪にも敢えて交わらずの態度で通した日々故に、その名簿の中に、特段、楽しい思い出を探せる筈が無い癖に、である。今の自分があの頃に戻れば、どれ程の幸せな時間に変える事が出来るだろうと、一人一人の名前を愛しく辿っているのである。なんとも勝手なものだ。夏は誰にとっても今でも熱いものなのである…