下請け側と発注側という事業者間での適正な取引環境の実現は、下請け企業の経営改善や賃上げ、地域経済の活性化にとって重要だ。人件費や原材料費、エネルギー価格などのコスト上昇分を取引価格に適切に反映できる環境づくりが欠かせない。 コスト上昇分の価格転嫁を巡り、公正取引委員会は、下請け事業者と協議せずに取引価格を据え置くなど独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」の恐れがある事業者に対し、注意喚起文書を昨年末に送付した。対象となったのは8175事業者に上った。 政府は毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と定め、講習会による啓発や、業界団体を通じた価格転嫁の要請などを実施。昨年秋には、人件費の上昇分を取引価格…