1916年(大5)春江堂刊。大正期になると欧米から輸入された映画の中でも連続活劇物が人気を博した。各地で上映されると同時に新聞や雑誌、単行本でノベライズされた作品が大量に出回った。またそれに触発されるように日本を舞台とした探偵活劇、これは推理や謎解きではなく、犯人の追補劇となる探偵アクションの小説も多く書かれるようになった。この作品もその一つで、明治中期以降避暑地として開発が進んだ軽井沢から浅間山にかけて、独探(ドイツのスパイ)と探偵との一対一の追跡と死闘の物語であり、映画を見るような娯楽作であった。作中では1899年開業の軽井沢ホテルも出てくる。☆ 国会図書館デジタル・コレクション所載。口絵…