作家、日本文学研究者。Q-NAM会員。1969年生まれ。2011年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学博士課程修了。学術博士。2005年より5年間中国で日本文学を教える。2010年「黒揚羽の夏」にて、選考委員の満場一致で第1回ピュアフル小説賞「大賞」を受賞。
==著書== 黒揚羽の夏 2011.7 ポプラ文庫ピュアフル 私自身であろうとする衝動 関東大震災から大戦前夜における芸術運動とコミュニティ 以文社, 2011.9.
はじめに花巻で発見された男の凍てつく死体、発見した女子高校生が迷い込んだ「忘れられたその場所」はハンセン病と深く関わっていて、犯行動機は怨恨の線が考えられた。シングルマザー刑事の川野絵美と新米刑事の麻戸浩明はぶつかり合いながらも真相を探り出していく。 忘れられたその場所で、 作者:倉数 茂 ポプラ社 Amazon 登場人物 推理小説ではないため、複雑な人間模様が描かれていますので、簡単に人物紹介を整理しておきます。それにしても登場人物が多いのではないでしょうか。久しぶりに二回読みました。当初不明だった点がつながったりして、二度読みも悪くないなと思いました。第一発見者(美和)の関係者・滴原美和 …
倉数茂氏の名もなき王国を読んだ。この小説は私小説的な感じで、埋もれてしまっていた幻想文学作家である沢渡晃を掘り起こしたという体裁で物語は始まるのだが、何とも不思議な構成になっている。「序」を読むとそういう構成になっている。作者の私と、友人の澤田瞬が瞬の伯母でもある埋もれていた老作家沢渡晶を掘り出したというようなことが書かれている。それに続く、「王国」では私と澤田瞬との出会い、澤田瞬と沢渡晶の過去、そして、私と私の妻藍香のことが私の視点と第三者の視点を混ぜながら語られる。P26ページから私が語る次作の小説のアイディアである「夫婦の物語」があまりにも自分の経験したことと似ているとして、瞬が激高する…