老母が独居する実家に二ヶ月ほど生活した。何しろ僻地である。この間、インターネット接続が断たれた。Facebookを通じて何とか社会との接点は確保出来たが、それも不要なほどに故郷の日々は濃密で人と食と風土は機微に富んだ。 後輩曰く、”僻地は宝の山と海”である。これに優る表現方法を今は知らない。豊後佐伯地方は都会からはとても遠い土地である。横浜から神戸まで車で走り、そこからフェリーで九州は豊後に渡る。飛行機で行けば済む話ではない。母の住む山里に公共バスは日に2本だけ、車をもっていかないと生活が出来ないのである。 気付けば滞在中一日平均40kmを走っていた。豊後佐伯地方の国県農林道の全てを踏破したよ…