物事には常に、良い面と悪い面がある。ホロコーストは悪だが、ナチスはいいこともしたのではないか――。いまの世にくすぶる不穏な問いに真っ向から答えた書である。『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』を興味深く、読んだ www.iwanami.co.jp ▼著者は小野寺拓也、田野大輔の両氏。ナチス研究を長年重ねてきた専門家である。ヒトラーの家族政策やアウトバーン建設を「良いこと」とする考えはなぜ、間違っているのか。いかに一面的な見方に過ぎないか。同書は緻密(ちみつ)な論証で、肯定説を退けている アウトバーン建設とは何ですか? ドイツで建設された自動車専用道路網。 ヒトラーの業績とされているが、それ…