最近、読んだ本で面白かった本は吉田裕の諸作。兵士たちの戦後史、はそのタイトルから想起されるような、元兵士の類型とそれに対応する記録、の体裁では全く無い。様々な記録から戦後の時期時期での第二次世界大戦の体験に対する思潮の変化、を捉えたものである。遺族会関連の記事、戦友会の会報などを丹念に調べ、マクロな「元兵士」の戦後を捉えている。 兵士たちの戦後史: 戦後日本社会を支えた人びと (岩波現代文庫) 作者:裕, 吉田 岩波書店 Amazon 私自身感じていたことだが、半世紀以上前の戦争報道は被害者意識を中心としたものであった。つまり銃後の酷さ(空襲、物資不足)あるいは従軍した下級兵士の実感として、で…