草原の民である蒙古族の多くの僧が、ラマ教の聖地であるチベットの首都ラサヘ巡礼の旅をした。私たちも、巡礼者に混じって西川さんが通ったであろう道を通って、これからラサに向かって長い自動車旅行に出発する。 このあたりの中心地であったオングル廟から北西に約70キロの草原の中からの出発で、コースは まずモンゴル人民共和国との国境近くまで西へ向かい、そこから南のアラシャンへと進む。蒙古高原の南には黄河が西から東へ流れている。チベットヘの道で黄河を北から南へ渡れるのは、ここからはるか西南の甘粛省の蘭州である。 平原の中の轍(車の通った跡で建設された道ではない) 午前10時、案内してくれたトルクルさんに別れを…