どんな名著も国境を越えてベストセラーになるためには、優秀な翻訳家と出会う必要がある。「星の王子さま」が日本でこれほどポピュラーな書籍になったのは、もちろん原作のおかげだが、翻訳家の力も大きく貢献していると思う。 この本は、長い間、内藤濯(ないとう あろう)氏の翻訳で岩波書店から出版されてきた。ところが、2004年末に著作権と岩波書店の出版権が消滅すると、複数の翻訳で複数の出版社から「星の王子さま」が出されることとなった。 内藤氏の翻訳がすぐれたものであったという評価は世に定着していたが、時の流れのなかでその言葉遣いが読みづらくなっていたという事情もあったようだ。このブログでの引用も、そうした2…