「虚と実」 【AF(アドベンチャー・フィクション)の世界~海外編~】モノ・コト編㉕ 推理小説と並んで熱心に読み耽ったのが、冒険・スパイ小説―――俗にアドベンチャー・フィクション(AF)と呼ぶジャンルで、わけても海外の翻訳物には夢中になった。 日本の作家が云々ということではなく、より非日常を堪能したいと思っていたからだ。己の想像力の欠如が元凶だが、文中に日本人の名前や地名が出てくると、どうしても日常に引き戻されてしまう。他のジャンルならリアリティーという言葉で納得できるのだが、ことAFに限っては勝手に拒否反応のスイッチが入ってしまうのだ。というのも、主要なテーマとなった国家的・組織的陰謀や対立、…