冨田竹二郎先生は、翻訳書を通じてタイに親しみをもたせてくれた。『タイからの手紙』や『田舎の教師』などの翻訳は、おびただしい数の訳者注があり、タイの衣食住など生活を教えてくれた。戦時中のタイ留学時代から集めていた資料を使って、1987年に2200ページもある大著『タイ日辞典』を養徳社から自費出版した。「この辞書が使えるんだから、タイ語を学ぶことにしてよかった」という話を、各方面で聞いた。この辞書は、タイ人も驚いた。通常のタイ語のほか、僧侶が使う特殊な表現や、王室用語、雅語、卑語、俗語などあらゆるタイ語が網羅されている。だから、「こんな辞書、タイにはないよ」とタイ人が言う。 私にはまるでわからない…