それにしてもあの男は何者なのか、 三年が経とうとしていたが 彼女にはよくわからなかった。彼の風貌は変わっていた。 伸び放題の髪と髭。 その中にうずもれるようにしてある瞳は、外観に似合わず、いつも穏やかでやさしかった。らくだの毛のマントをはおり、 皮膚は日に焼けて鋼鉄のようにひかり 引き締まっていた。 彼は朝早く家を出て 彼女がパンを焼き上げるころ戻ってきて 食事を共にした。それから夕方までどこかへ出かけ、 夕食を食べると、 彼女があてがった二階の部屋に引きこもった。 そうして、なにやらぶつぶつつぶやきながら 部屋の中を歩き回っているらしい。男になついた息子が、そっと昼間、後を追うと、 近くの山…