風が心地よかった。静かに目を閉じて、エリシャはこの家の女主人のことを思っていた。あたえられた部屋はいこごちよく、食事はおいしかった。いつしか、これが当たり前のようになって、彼はふと気づいたのだ。何か、お礼をしなければ・・ 彼は目を開け振り向いて、ゲハジに言った。 奥様を呼んで来てくれないか。 しばらくすると、彼女が部屋の入り口に姿を見せた。 その足元には猫がいて、自慢の尻尾をピーンと立て、エリシャの膝に飛び乗った。エリシャはゲハジを通して、今までの感謝の言葉を伝え、何かお役に立ちたいのだが、必要な物はありますか?と女に尋ねさせた。彼女はきょとんとした顔で、エリシャとゲハジを眺めて、それから慌て…