川を渡りきって背後に目をやって、エリシャはギョッとした。ヨルダン川が、何食わぬ顔して、静かに流れていたのだ。彼は、足元に水が迫って来はせぬかと、慌てて後ずさった。そして、そのまま気ぜわしくエリヤの姿を探して、走った。 何を慌てているのだ。今までも、これからも、お前の歩む後には、神様の不思議が記念として残るだろうよ。前を向き、神様から目をそらすなよ。風が強くなってきたような気がした。エリヤの髪が揺れている。エリヤは辺りを見回し、それから、おもむろにジッと愛弟子に目を注いだ。お前が、私に望む最後の望みは、何だね?エリシャは、はっとして、それから胸が熱くなって、目頭が痛み、鼻の奥がツンと痛んだ。上ず…