「新選組血風録」は司馬遼太郎が60年代に書いた傑作で、新選組を題材にした短編集です。 各話は、新選組に実在した人物あるいは架空の人物を主人公にした群像劇となっており、隊内に巻き起こるドラマに定番キャラの土方歳三や沖田総司が絡んでくる構成です。 司馬作品には土方歳三を主人公にした「燃えよ剣」という長編もありますが、「新撰組血風録」もまた面白いのです。 なかでも「前髪の惣三郎」は隊内で起こった男色騒動を描いていて、新選組ものとしてはちょっと異色です。 (司馬遼太郎「新選組血風録」) さて、出だしはこんな感じです。 堀川屯営のころ、何度目かの隊士募集があり、諸国の剣客二十数人が、屯営構内の新築道場に…