備中国で産出した鉄。中世、同国の鉄は全国的な名産品であった。室町期、摂津国の商人が新見荘で「くろかね(鉄)」を質物としており、畿内の商人が鉄の買付に訪れていたことが知られる。 新見荘の「くろかね」 備中国の特産品 備中国と鉄製品 参考文献 新見荘の「くろかね」 寛正四年(1463)二月二十六日、備中国北部に位置する新見荘の田所・金子衡氏は、自身が送った割符が換金できないとして、東寺から度々問い合わせを受けていた。衡氏が調べたところ、この割符は国元で内々に扱った摂津国中嶋の商人のものであった。割符を組む際に質物として「くろかね(鉄)」をとどめ置いてあるので、割符が換金できない場合は、これを売却し…