ボヤ (柴) のほかに、太い丸太も橇で運び、早春の雪の上で鉞 (まさかり) で割って “にお” に積んだ。鉞の使い方も高学年になったころに自得したように思う。薪やボヤの “にお” の積み方も見て覚えた。両端2本ずつの柱木間に針金を渡してこの上に薪を積むと、薪自体の重みで支えの柱木が内側に締まり、におが崩れない。こんな些細な知恵が、農のくらしには無数にある。 地炉 (囲炉裏) にはさまざまな効用がある。火を焚くと家中が暖まる。炉の上に火棚があり、この上に濡れた長靴や雪かき道具などを乗せて乾かす。川魚の干物を作ったりもする。熾火のそばの灰の中に硬い鬼胡桃を埋めておくとパチンと爆ぜる。割れ目に鉈を入…