■[動物裁判]ブタの被告人
動物裁判―西欧中世・正義のコスモス (講談社現代新書)
作者: 池上俊一
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 1990/09
メディア: 新書
歴史上罪なき人が罰せられた例は多々ありますが、今日は特に変わった薀蓄「講談社現代新書」からでている「動物裁判」という本、これ、筆者が中学
●そもそも「動物裁判」とは
読めば抱腹絶倒なのですが、14世紀ヨーロッパで行われた、裁判。例えば凶暴なブタが人の赤ん坊を食い殺したりした場合、普通は「事故」ですよね?ところが、当時は、そのブタを「罪人」として「裁く」のが「常識」だったという恐ろしい世界。
具体的には、そのブタを教会につれてゆき(当時は教会が裁判所でもありましたし、神父が裁判官、法律はある意味聖書が基盤にありましたからねぇ)ブタを裁判にかけて断罪し、死刑にするという風習です。
●なぜ「裁判」?
まぁこうした面白ねたを本にする学者さんも素敵ですが、内容も最高。なぜ裁判かというと「神が万物を創造された、人も草木も動物も」したがって、教会による教育を受けていない「子供」「アジアの野蛮人」「動物」は神の恩恵を基本的に受けていない「人間」でない存在・・・しかし「赤ん坊を食い殺す」ブタは神の法に反している為、ちゃんと裁判にかけてから法に則り、処刑するのが当然・・・はぁ。
しかも、教会に入るのは「裸」では神への冒涜になるため、ブタに「衣服」を着せて、裁判と名が付く以上「弁護士」がつく。ブタ「ブブー!」
うーん・・・弁護士は「このブタは辺境に生まれ、残念ながら教会にいけず、罪を犯した云々」と弁護士、情状酌量の余地あり」となれば同じ死刑でも、生きながら火あぶりにするのではなく、絞首刑にしてから、焼き殺すという「恩恵」が裁判官により判定。
●今にして思えば不思議な話です。