警視庁公安部外事課 作者:勝丸 円覚 光文社 Amazon 「公安」と言えば、刑事ドラマなどでは主人公たちと対立する「内なる敵」の典型。いかにもエリート然とした雰囲気で現れ、現場の捜査方針を「大義」のためとしてひっくり返した上に、「お前らは我々の言うことに従っていればいいんだ!!」みたいなことを言い放って、主人公に感情移入している視聴者の神経を苛立たせる役割を担う「敵役」がハマり役だ。 著者勝丸氏の簡潔な説明によれば、いわゆる刑事たちは個別の犯罪を追うのに対し、公安は国家の治安を脅かすような個人や団体の取り締まりを対象とするそうだ。なるほど「国家の安全維持」に関わるメンバーからすれば、殺人であ…