暗がり坂から中の橋へ向かいます。 中の橋は泉鏡花「化鳥」の舞台とされた場所で、 近くには「化鳥」の一節の碑が。 そして金沢市眺望点にも指定されています。 ここからの眺めは素晴らしいですが、 橋自体も大好きです。 【「吹込みますから、お前も此方へおいで、 そんなにして居ると衣服が濡れますよ。」 「戸を閉めよう、母様、ね、こゝん処の。」 「いいえ、そうしてあけておかないと、お客様が 通っても橋銭を置いて行ってくれません。 ずるいからね、引籠って誰も見て居ないと、 そそくさ通抜けてしまいますもの。」 私は其時分は何にも知らないで居たけれども、 母様と二人ぐらしは、この橋銭で立って 行ったので、一人前…